室内土質試験とは

現地で採取した土(試料)の性質・属性について、どのような地盤なのかを数値化して確認する試験です。建物・構造物の計画においては土(=地盤)も建造物の材料の一部と考えられ、現地ボーリング調査と並んで室内土質試験の結果は必須の情報資料と言えます。

目次

含水比試験

 目的

  • 土の中に含まれる水分の比率を割り出す
  • 土の状態を把握

 数値結果

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土粒子の密度試験

 目的

  • 体積質量を割出す
  • 土の状態を把握

 数値結果

土粒子の密度試験は「土粒子部分(間隙を除いた)」の単位体積質量ps (g/㎥)を求めます。一般的な無機質土における土粒子の密度は、2.6~2.8 g/cm3の範囲にあるとされています。数値がこれよりも低い場合は有機物の混入が、逆に高い場合には鉱物類の含有による影響があるとされています。

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粒度試験

 目的

  • 土粒子の粒径を測り特性を示す
  • 粒径区分により土質を分類

 数値・結果

粒度試験は土粒子の状態を把握し土質を分類します。試料に含まれる土粒子の粒径の分布の状態を粒度と呼び、粒径それぞれの割合をグラフ(粒径加積曲線)に表して評価します。土の粒子の大きさとその含まれる量を割り出し、粒度特性を確認する試験です。下の表の通り粒径により土粒子は区分され、細かい方から細粒分粗粒土(砂質土~礫質土)、石分にそれぞれ分類されます。

                【土粒子の粒径による区分】


 また下の図は粒径加積曲線と呼ばれるもので、縦軸は粒径の占める割合(%)を、横軸は粒径の分布(mm)を示します。土粒子の粒径別に分布する範囲を示し、どの大きさの粒子がどのくらいの比率で含まれているのか判ります。粒径が広い範囲にわたって分布している(曲線が0.001~100まで横軸方向に長い)試料は締固めに適していると考えられ、逆に曲線が狭い範囲に集まる場合は「分級された」状態と言え、締固めには理想的ではないと考えられています。

粒径加積曲線

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湿潤密度試験

湿潤密度試験は土粒子のみではなく「土全体」の単位体積質量pt(g/㎥)を測定し求めます。湿潤密度は土の自重の計算に使用され、種々の工学計算に重要な物理定数です。一般に粘性土でρt=1.2~1.8g/cm3,砂質土でρt=1.6~2.0g/cm3,関東ロームでρt=1.2~1.5g/cm3を示すことが多くあります。試験には乱れの少ない試料採取が必要です。

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一軸圧縮試験

一軸圧縮強さ:(qu)を求める試験で、最も行われる頻度の高い試験です。試料を円柱状の供試体(整形された試料)の側面の拘束を排除した状態で、鉛直方向へ毎分1%のひずみが生じる割合の圧力を継続的に掛けて圧縮応力=一軸圧縮強さ:(qu)を測定します。試験には乱れの少ない試料採取が必要です。


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三軸圧縮試験 UU

地盤の地耐力を知るため試験で、せん断抵抗角:(φ)粘着力:(C)を求めます。これにより長期許容支持力:(KN/㎡)として地盤の強度を数値化します。試験には乱れの少ない試料採取が必要です。

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圧密試験

建物の荷重が誘因となり間隙空気、地下水、地層区分などの要素から地盤が沈下を起こすことがあります。その圧密には2つの現象があります。一つは土粒子の体積そのものが減少(圧密)する場合と、土粒子の体積はそのままで形状が変化(せん断)する場合があります。その量と時間が重要であり、圧密沈下量沈下時間降伏曲線を割出し、最終的な圧密降伏応力(Pc)を求めます。試験には乱れの少ない試料採取が必要です。

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 締固め試験

法面などの盛土造成が行われる場合に多く行われます。試料採取にボーリング機は不要です。土の締固め試験は最大乾燥密度と最適含水比を求め、盛土の締固め管理に用います。締固め曲線は上に凸の曲線になり、その縦軸の最大値を最大乾燥密度ρ d maxと呼び、その最大値を与える含水比を最適含水比wopt と呼びます。つまり不飽和土(乾いた土)を最も効果的に締固めるために最適な含水量が重要な要素になります。下の図はその関係性を示すグラフで、縦軸は乾燥密度、横軸は含水比です。

【締固め曲線】

締固め曲線

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CBR試験

CBR試験は駐車場や車道などを造成する際に路床・路盤としての地盤の強さを調べる試験です。民間事業ではおもに駐車場の設計に際し試験を行います。試料採取にボーリング機は不要で、現地の試料採取はおもにバックホーにより行います。使用中の道路で採取する場合は作業自体も道路工事の光景に似た感じになります。試験はアスファルト舗装の設計(設計CBR)とその材料の選定(修正CBR)のために行われます。CBR(=路床支持力比)は規定の方法により、設計段階で8までの数値で評価され、2もしくは3未満の評価となる場合は、そのアスファルト設計のままでは不適合の可能性があることを表します。

 試験試料は現地で採取した乱れの少ない試料(現状土)、もしくは崩れた試料(変状土)、いずれの状態でも行なわれ、試験順序は含水比測定→供試体突固め→吸水膨張→貫入試験→データ整理の順で行いCBR値を決定します。

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