ボーリング調査

地質調査のなかでも最も本質的と言える技術です。地盤の一部を目的の深さから地上まで引き上げ、実際に目視し手に取って地層を確認できる唯一の調査です。

計画する建物が鉄筋3階建て以上の重量ある構造になる場合はこの調査が必須になります。また地上5階建て以上の建物を計画する場合は支持層(硬い地盤)が5m以上連続するまで深く掘削して確認する必要があります。

この調査技術は建築物のみならず温泉、油田、井戸、トンネル、ダム、海洋鉱物資源の開発などあらゆる目的で必要とされています。

  • 地盤の強度確認 
  • 地層と深度と地下水位の確認  
  • ボーリング掘削孔を利用した各種試験

  • 実際の地層を目視確認できる唯一の方法である 
  • 地層と深度を最も正確に把握できる 
  • 駆動時:ディーゼルエンジン駆動の場合(大多数)は騒音が発生
  • 作業場所:相応の作業スペースが必要(最小20㎡程度のほかトラック駐車場)
  • 搬入:狭小スペースへの搬入(人肩運搬)が不可能

標準貫入試験

試験はJIS-A-1219の規格に準拠し、63.5±0.5kgのハンマーを76±1cmの高さから半自動落下装置を用いて自由落下させ、SPTサンプラーを15cmの予備打ち、30cmの本打を行います。この際30cmの本打ちに要する打撃回数が値となります。なお本打ちの打撃数は目的に合わせて50回、60回などを限度とします。 STPサンプラーにより採取された試料は,土質名,色調,含水状態、および特異な混入物等を観察、記録できます。地層の確認が実際に目視と手触りで行え、推定を要しない正確な情報が得られます。

標準貫入試験によるN値と土質の状態は下記の表の通り区別できます。コンシステンシーは粘性土やコンクリートなどの硬さや粘着力により変動する抵抗の状態を表します。砂の相対密度は基準とされる密度に対しての詰まり具合を表します。

【N値とコンシステンシー(粘土)および相対密度(砂)】

柱状図

ボーリング柱状図は標準貫入試験結果のN値のほか、地下水位、原位置試験の深度、乱れの少ない試料採取の深度、などボーリング調査の内容を最も端的にした図表で、ボーリング調査後もその土地の地盤情報として後世にも役立ちます。工事計画の前段階で各種の専門業者は柱状図の情報から、基礎・地盤に関する必要な施工を検討します。

【ボーリング柱状図の見方】

孔内水平載荷試験  

孔内水平載荷試験(新名称:孔内載荷試験)はゴムチューブもしくは載荷板をボーリング孔(試験孔)内で膨張させ、試験孔の側面(孔壁面)への圧力による変位量を測定します。地盤の水平方向の軟硬を試験できる数少ない試験方法です。試験にあたり整った孔壁面が必要条件になるため、ボーリング孔で行われるのが通常です。試験結果の信頼性も高く杭基礎工事が予定される建物の調査では必須の原位置試験です。

【孔内水平載荷試験の概要と作業順序】